クラウド統合基幹システム「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」とは? 

ドイツ本社のSAP SE社は50年以上前から、日本では30年以上前からERPを軸として一貫して企業の業務変革を支援する様々なソリューションを提供していますが、2024年現在ではSAP S/4HANA Cloudというクラウド型のERP(Enterprise Resources Planning)ソリューションを提供しています。


1.SAP S/4HANA Cloud Public Editionの特長

ERPとは

部門別(会計・販売・購買・生産等)システムは、業務毎にプロセスが最適化されていたとしても、企業全体としてのプロセスが欠落していることがあります。

また、業務毎に構築されたデータベースのため業務間でのデータ連携にバッチ処理が必要になりタイムラグが発生したり、各業務領域の情報はそれぞれのシステムにしか保持されていないため企業全体で情報共有する際に手間がかかることがあります。

一方、ERPシステムは、企業の経営資源を統合的に管理し、企業全体の最適化を目指すコンセプトの元につくられたもので、ERPシステムは部門別での最適なプロセスではなく企業全体での最適なプロセスで統合され(全体最適)、経営判断のための様々なデータを1つのシステムのデータベースからに抽出することができます。

さらに、SAP S/4HANA Cloud Public Editionは、データ発生(基幹系)とデータ利用(情報系)は1つのシステムのデータベースで実行されているので、タイムラグやデータ欠落することなく、詳細までタイムリーに分析することが可能です。

例えば、販売管理に入力された売上や、購買管理に入力された入庫や検収の情報は、財務会計と管理会計にリアルタイムに取引明細単位で反映されます。

また、売上や調達の伝票にある得意先、仕入先、品目、原価等の分析軸情報についても会計に引き継がれ、会計で発生している取引情報をタイムリーに、明細までドリルダウンして分析することが可能です。

    ✓業務システムが完全に統合されるため、業務間のリアルタイム処理
    ✓タイムラグや二重入力の排除、業務間のデータの整合性をシステムが保証
    ✓全社で同じデータを共有、経営判断のための情報分析促進
    ✓維持管理コストの削減、業務の標準化を促進


2.SAP S/4HANA Cloud Public Editionの定期的なアップグレード

定期的なアップグレード

SaaS型のERPシステムのSAP S/4HANA Cloud Public Editionは、SAP SE社の圧倒的な製品開発投資による半期に一度の定期的で継続的なアップグレードがあり、最新のビジネスプロセスや技術が適用されます。

近年のトレンドであるAIについては、ビジネスで活用できるAIソリューション群のSAP Business AIとして、例えば、AI機械学習を利用した自動入力支援、対話型のAIアシスタントを利用した操作支援等が順次提供されています。


3.クラウドERP時代に適した導入方法論

Fit-to-Standard-アプローチ

SAP S/4HANA Cloud Public Editionには、導入を進める際にお手本となる、SAP Best Practicesという事前に定義された充足度の高い業務プロセスのひな型テンプレートと、業種特化シナリオによる包括的なビジネスプロセスが組み込まれています。

これをベースとして、用意された標準機能に業務プロセスを合わせることを基本とするFit to Standardというアプローチにより、あるべき姿のクラウドERPシステムを導入、運用していきます。

Fit to Standardでは、要件定義をするのではなく、どうすれば標準機能に業務を合わせられるのかをとことん突き詰め、不要な業務の慣習はやめる、または変えることを実践し続けます。

その結果、短期で低コストの導入に繋がり、アップグレード時に最新の機能や技術を継続して享受することに繋がります。

なお、Fit to Standardアプローチは、業務担当者からの反発等でプロジェクトがスムーズに進まないこともあるため、導入前の利用検討の段階から開始することが重要です。

例えば、プロジェクト関係者、経営層、業務部門に対し、クラウドシステムを利用するためのマインドセットを醸成するワークショップを利用検討フェーズに実施して、標準機能のデモを通して検討を進めることができるかの確認や、どのように使うか等を見極めてもらう活動を行います。

このように、SAP S/4HANA Cloud Public Editionには、安心安全かつ最適なパブリッククラウドERPシステムの導入のために、利用検討~導入~運用まで最適な方法論が定められています。


4.システムのコアに影響を与えない様々な拡張方法

Fit to Standardアプローチ

Fit to Standardアプローチでの導入で、会社の強みや競争性が失われしまう独自要件については、アップグレード時の影響を鑑みてシステムのコアに影響を与えない何種類かの拡張方法が用意されています。

SAP Best Practicesで定められている企業活動の業務処理を最小化した単位の部品は導入前の利用検討フェーズから示されます。

充足度の高い業務プロセス群の利用を前提としますが、どうしても開発が必要になる競争領域である独自要件の部分は、早い段階で具体的にイメージすることが重要です。


「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」導入を始める前の準備のご相談など、どうぞお気軽にお問い合わせください。
「グランドデザインサービスfor SAP S/4HANA Cloud Public Edition」は、DXの推進を後押しするパブリッククラウドERPの導入を実現するために、クラウドアセスメントとクラウドマインドセット醸成ワークショップ、システム構想策定をご支援します。


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