SCMとか、“適正在庫”とか・・・あまり現実味が湧かないなあ。
棚卸しの数字合わせだって一苦労な状態だし。
今のままでも業務は回っているし、倉庫システムに大きな問題はないからね。
「物流システム改革」が他人事だと思っていませんか?
あるステップを踏むと、理想と現実のギャップが急に縮まります。
これから紹介するいくつかのエピソードは、フィクションではありますが、これまで実際のお客様にヒアリングした内容をベースにしています。
営業が信頼しないシステム在庫数
「型番25を5個緊急出荷したいんだけど、あるよね?」 という様な電話連絡が営業から倉庫に入ることがよくあります。 ERPを導入していても、営業が システムに表示される在庫数を信頼していないのです。 それには、もっともな理由があります。 「昨日検品が済んだはずなんで、その辺にあると思います よ」などという答えが返ってくるからです。 工場からの入庫品が倉庫の入り口に山積み状態で棚への移動待ちをしています。 つまり、システムでの入庫処理 が行われていないのです。 営業が駆け込んで来て「これ手持ちするから貰って行くね。伝票は後で」と言ってシステム上存在しない在庫が出庫されます。 後に棚卸し差異となっても原因 がわかりにくいのです。
佐藤さんに聞いて
滅多に使わない部品の在庫場所を入社2年目の社員から尋ねられて困ったことがあります。 「それは佐藤さんに聞いてみて」とベテラン倉庫マンに振ってし まいました。 良く動く品目の場所は頭の中に地図ができていても、全てを把握している訳じゃないから、ベテランが定年を迎えて居なくなると困るなあ。 倉 庫システムはあるけど、実在庫は属人的な在庫管理なので、何がどれだけ長期滞留在庫になっているか良く分かってない。 トラックが来たらすぐ受け取らな きゃならないから、つい空いてる棚にいれちゃうんだよね。
恐怖の棚卸し
GWは年1回の棚卸しなんですよ。毎年事務方も総動員で2日掛けます。業務を止める訳にはいかないから、連休返上です。 ERPから出力されるリストが 届くんだけど、そのリストにそって物を数えるのがまず大変。 「この棚の奥に違う製品がありそうですけど、数えられません!」とか「あれ?この品番こっち にもあった」「事務所の廊下にあるやつ、誰か数えた?」「あっ、休憩室前にも何かあった気がする」なんて感じで大混乱です。勿論、システム在庫と実態は 全然合わないので差異処理にも相当時間が掛かります。 きちんと棚管理できていれば循環棚卸しもできるんだろうけど。年に1回のこととはいえ、これが楽になるなら新システム構築に協力してもいいよ。
上からの通達
「半年以内に”在庫の見える化”を実施しろ」と経営会議からシステム部への指示がでた。
SAPのERPを導入して2年経過しているが、生産と倉庫は既存システムの利用を継続している。
ERPが稼働しても特に業務の流れに変化は無く、エンドユーザーからは「以前より入力が面倒になった」ぐらいのコメントしかありませんでした。 経営層か らは、ERP効果が見えないことへの不満が漏れ聞えてきてはいました。 ERP利用での在庫適正化と言われても「何がどうあれば適正なの?」が分からない まま放置されていました。 「在庫の見える化」と言うキーワードで少し光が見えた様な気がしています。
「ITは見える化=情物一致を目指せばいいんだ。 その先はマネージメント層が考えてくれるんだ」 という単純なことに気付いたら気が楽になったのです。
物流効率化、流通コスト削減、JIT、SCM、企業の戦略的判断は、システムがしてくれるのではありません。BIシステムにしても、まず元データ収集にフォーカスして整理し、ERPとリアル統合するというステップさえ実現すれば、データを元に考えるのは人間です。
データが正確であり、タイムリーである事がITの使命なのです。
勿論、現在もERPには何らかの形で在庫移動データが入力はされているでしょう。
上記エピソードで出て来た倉庫システムもERPとの連携はあります。
では、情物不一致が発生するのは何故なのでしょう。情報の発生点入力ができてデータ収集遅延や入力ミスが減らせる方法は?この問題を解決した事例の紹介コラムもあります。