情報発信
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ワークフローを語る上で内部統制に関してはどうしても触れなければなりません。2008年4月の事業年度から「内部統制報告制度」(日本版SOX法)が導入され、各企業ではより管理体制の強化に努め、業務の混乱や非効率化、不透明化といったリスクを回避する必要に迫られています。
株式を上場している企業とその関連会社は、内部統制報告書と内部統制監査報告書の提出が義務付けられるようになりました。
内部統制の基本的な目的は、下記になります。
・業務の有効性及び効率性の明確化
・財務報告の信頼性の明確化
・法令の遵守
・資産の保全
すなわち、企業を巡る不祥事をなくすために、業務が不正なく、適切に遂行されるシステムを確立するということが内部統制の真の目的になります。
・トレーサビリティの確保。証跡が確実に残ることが必要
誰がいつどういった申請をして、誰に承認されたのか?また、今現在どこで流れが止まっているのか?申請の進行状況はどうか?システムとして情報や証跡が残り、それが共有されるとなると不正行為は確実に減少します。不正をしようとしている人って実際は臆病な性格が多いと言いますし。
・残業や出張など事前に申告・承認されることが必要
申請者や承認者が出張などで遠隔地にいる場合でも外出先からセキュアなネットワークを介してワークフローシステムにアクセスして申請、承認処理を行うことができます。その際、手続きの証跡は確実に残ります。
・販売業務にて、新しい顧客との取引はすべて審査対象
売れるならどこでも良いというわけではありません。新しい取引先は審査・承認を経て、得意先マスタに登録されます。その承認の手間を省くための与信管理を機能させることにもワークフローは有効です。与信限度額を設けずに営業機会ごとに上位管理者の承認を得ていたら非常に煩雑な手続きになります。かといって、ノーチェックでは、販売代金貸し倒れの恐れがでます。取引承認金額の目安としても利用できます。
・注文書の社内承認と注文請書の承認が必要
注文書を社内で回して承認を得る。架空注文や横流しの可能性をなくすために、注文請書を発行し業務課長の承認を得る。受注後プロセスとして、注文書が出荷部門に回って、然るべき手続きを経て、それから倉庫に連絡がいって出荷となるわけです。ワークフローシステムを利用して、早く正確に受注を処理できて、短納期化を実現します。顧客も満足です。
・購買業務にて、仕入先担当は複数人が原則、発注書は承認・記録が必要
取引先との癒着を防ぐために、複数の担当者で仕入交渉しなければなりません。「あの人しか知らない」というようなブラックボックスがあると不正の温床になるし、会社として属人的なことは排除しなければなりません。また、注文はすべて発注書を作成し承認したものを記録・保存する必要があります。
・発注?納品?検収という一連の手続きの担当者は別々であること
取引先と結託して不正(キックバックなど)を起こさないためにも、業務(発注担当、受入担当、支払担当)の分担、牽制、担当者の定期的な変更が必要ですね。システム化しておくことで、業務の引き継ぎもスムースに実施できます。
・証憑書類はいつでも速やかに取り出せるよう保存すること
注文書や契約書などの証憑を電子化して財務諸表や帳簿類と関連付けて保存するなど、いつでも検索・閲覧できることが求められています。すなわち、必要な書類を電子化して、ワークフローで共有できるしくみによって、取引履歴や決裁済み文書が、改ざん、または削除されることを防ぎます。
ルールを明確にしてシステマティックに処理する。それが不正行為の防止につながります。
こうして、ワークフロー導入の本当の目的が出揃いました。
スピードアップ経営、チームワークが発揮できる環境づくり、そして、社員の不正防止。
費用対効果の面からみてもとても有効なシステム、ソリューションではないかと考えます。
次回は、ワークフローシステム導入の現実を考えていきます。